全体が四連作で構成される作品だ。単体の基本としては、各々のパネルに和紙を張る。その際二本、又は三本の長短の帯状の線を垂直のまま白地として残すようにし、その上から墨に、個別に群青、紫金、緑青、辰砂などの岩絵具を巧みに融合させるように挿す。単体によっては更に箔を散らすこともある。
一見シンプルな造形に思われるけれど、一つ一つの単体作品が、実に複雑微妙な工程を経ているのがわかる。結果として一つの単体は リズムのように絶妙な間隔(インターバル)で構成される。
しかし作品はその段階ではまだ、フィニッシュになったとはいえない。壁面に単体四連作をどのように展示構成するかが問題なのだ。つまり壁面全体を一つの白い地に見立て、そこに図である四面の単体作品を、それもやはり、リズミカルなインターヴァル(間隔)になるよう、クリエイトしなければならないわけだ。単体作品でありながら、四連作とすることにより、展示空間を異化するインスタレーションに近い性質の作品となっている。
文/ ワシオ・トシヒコ
花美術館 Vol. 7 2008年8月10日発行